35階から落ちてきた恋
ダイニングバー フェダイア

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あのライブから2週間。
あんなに思わせぶりなことを言っていた進藤さんだったけれど、私たちはあれから一度も会うことはなく私は毎日また激務の中にいた。

あの日、からかわれたことに腹が立ったし、そのままクリニックに出勤する予定でもあったから、木田川さんが部屋に来るとすぐに私は木田川さんに後を任せてぐっすり眠っている進藤さんを残して部屋を出た。
進藤さんが解熱していたのはわかっていたし、私をからかう進藤さんと言葉を交わす気力もなかった。



「さすがにあと1週間くらいでこの忙しさも落ち着きますかね?」
お昼休みの時間をとっくに過ぎた午後2時40分。知世ちゃんがコンビニおにぎりをほおばりながらため息交じりに呟く。
あと20分もしないうちに午後の診療が始まってしまう。

「そうだといいね」
私は希望的観測を込めて返事をする。
毎日の超過勤務でSTAFFは皆疲れている。声も出せずにうんうんと頷くだけ。

「これが落ち着いたら飲みに行きましょうよ」
知世ちゃんのひと声に空気が変わる。

「いいね、私オシャレなバルをみつけたんですけど、忙しくて行けなかったからみんなで行きましょう」
留美ちゃんが明るい声を上げた。

「行くー」「行く、行く」

疲れ切った心に”オシャレなバル”の響きが魅力的だったのは皆同じらしい。
しかも、留美ちゃんのお店の選択に間違えはない。

その日まで頑張ろう。
そして、美味しいお酒を飲んで進藤さんのことなんて忘れてしまおう。

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