35階から落ちてきた恋
ぱんぱんっと大きく手を叩く音がして「はいはい、後はお昼休みにしてちょうだい。もう朝の診察の準備を始めて」
と声がした。
振り向くと、そこにいたのは木下先生の奥さんの美知子さん。
私の大学の先輩でもある。
「美知子さん!」
「さあ、後は昼休みにゆっくりやりましょ。とにかくみんな、働いて頂戴」
美知子さんのひと声に渋々といった感じで解散する。
「果菜さん、お昼、逃げないで下さいよ」と言い残して更衣室を出て行く知世ちゃんが少し怖い。
「はあ。助かりました。美知子さん」
私がすり寄ると
「何言ってんのよ。昼休みにはゆっくり吐いてもらうからね。もう鈴庵の座敷の予約もしたから」
と言い放った。
そこにいたのは頼りになる私の味方である7年来の付き合いの美知子先輩じゃなくて好奇心いっぱいの院長夫人だった・・・。
お昼になると、規定の診療時間ぴったりに私は美知子さんと言う名の最高権力者によってクリニックから連れ出されていた。
「み、美知子さん。まだ患者さんが残っていて診療は終わってませんが」
「あら、大丈夫よ。あなたがいなくったって他の人が頑張ってくれるんだから。もう昼休みなの。果菜は残り番じゃないでしょ」
「いや、でも、あの」
「何、文句なら聞かないわよ」
私の腕をしっかりと握りしめてぐいぐいとご近所にあるお蕎麦屋さん『鈴庵』に向かって歩いていく。
と声がした。
振り向くと、そこにいたのは木下先生の奥さんの美知子さん。
私の大学の先輩でもある。
「美知子さん!」
「さあ、後は昼休みにゆっくりやりましょ。とにかくみんな、働いて頂戴」
美知子さんのひと声に渋々といった感じで解散する。
「果菜さん、お昼、逃げないで下さいよ」と言い残して更衣室を出て行く知世ちゃんが少し怖い。
「はあ。助かりました。美知子さん」
私がすり寄ると
「何言ってんのよ。昼休みにはゆっくり吐いてもらうからね。もう鈴庵の座敷の予約もしたから」
と言い放った。
そこにいたのは頼りになる私の味方である7年来の付き合いの美知子先輩じゃなくて好奇心いっぱいの院長夫人だった・・・。
お昼になると、規定の診療時間ぴったりに私は美知子さんと言う名の最高権力者によってクリニックから連れ出されていた。
「み、美知子さん。まだ患者さんが残っていて診療は終わってませんが」
「あら、大丈夫よ。あなたがいなくったって他の人が頑張ってくれるんだから。もう昼休みなの。果菜は残り番じゃないでしょ」
「いや、でも、あの」
「何、文句なら聞かないわよ」
私の腕をしっかりと握りしめてぐいぐいとご近所にあるお蕎麦屋さん『鈴庵』に向かって歩いていく。