35階から落ちてきた恋
そう、その映画だけど。
私はエンディングで泣いてしまって。

「アクション映画で泣くか?」と笑われた。
「だって、ものすごくLARGOの曲がよかったから」

クライマックスからエンディングにかけてLARGOの曲が流れた。
それはもう効果的に。
それで私の涙腺は一気に崩壊してしまった。

進藤さんはそう言う私の頭をポンポンとしてくれる。

「あれ、作詞がユウキで作曲は俺」

「そうなんですか。すっごく素敵だった。進藤さんってやっぱり才能のかたまり。その感性はどこからくるんですか?
努力もすごくしているのもわかるんですけど、そういうのって努力だけじゃ手に入らないですよね。
何か特別な才能?”何とかの実”を食べたとか?」
うん、うん、と一人で感心してると進藤さんがまた吹き出す。

「果菜といると退屈しないな。お前のその感性もどこからくるんだよ」

「え?私っておかしいですか?」

「俺にはお前の仕事以外の抜け感の方がどこからくるのか興味深いよ」

「そんなに私って抜けてるんでしょうか?」

「ああ、抜けてるといっても、鈍くさいとかのろまだとかマイナスの意味じゃない。仕事じゃきびきびしてるのにプライベートはゆったりとしてるというか柔らかいなってことだ」

「何だか褒められてるのかどうなのかはわかりませんけど」

「果菜といるとホッとするってことだよ」

微妙な顔をした私に進藤さんは優しく笑った。
その表情があまりに優しくて私の胸が大きく弾んでしまった。

ま、まずい。
ドキドキする。こんなイケメンの笑顔って犯罪だ。
私の気持ちを知ってか知らずか進藤さんは私の頭を撫でる。
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