はちみつ・lover
そして、実際に「現実は甘くない」という

事を思い知らされる事になってしまった。


「おはよ~、葵」

私は事故があった2日後、いつものように出

社した。なるべく暗い表情を見せないよう

に気丈に振る舞った。だから美香も普段通

り話し掛けて来る。だけどその日は何かが

違った。

「あ、あの・・・水無月さん。用があるっ

て・・・」

「え?誰がですか?」

業務が開始してパソコン向き合った途端、

受け付けの事務員が声を掛けてくる。不思

議に思い首を傾げると、その事務員を押し

のけて入って来たのは・・・


「げっ、誰あのおばさん」


私を見下ろすその相手───彼のお母さん

だった。彼女は美香の呟きが聞こえたのか

美香に目を剥いている。

「おばさんじゃないわよ!私は倉持飛鳥の

母です!」

美香の耳元で叫んでいる。美香も他のみん

なも「えっ!?」という顔をしていた。
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