はちみつ・lover
「倉持の母親絡みか・・・」

「課長、何か言いました?」

「いや、何でもない」

課長はさっさと電話を切った。ただ聞き取

れなかっただけなのに。一体何を言ったん

だろう?

「ま、いいや。明日からしばらく休めるん

だし」

私は努めて余計な事を考えない事にした。

ちょっとガス抜きするなら、ストレスの原

因から離れた方がいい。ちょっと彼から離

れるだけだ。何て事はない。


「・・・ちょっと離れるだけだから」


私はその日、ボストンバッグに荷物をまと

め、彼の部屋で眠りについた。夢に彼と彼

のお母さんが出てきて何度も目が覚めた。

朝、目が覚めた時にはぐっしょりと寝汗を

かいていた。夢のせいだ。


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