はちみつ・lover
「ほんとに・・・もういいの?」

「うん。私・・・自分で何とかしてみる」

お母さんは納得したようにうなずいた。ど

こか寂しさを押し殺しているように見え

る。

「・・・そう。あなたってほんとに勝手ね。

結婚した事も一言も言わないで、もう帰っち

ゃうのね」

「・・・ごめんなさい」

「いいのよ。お父さんが起きない内にさっ

さと帰りなさい。あなたの人生はあなたが

決めるの。誰かに決められた人生なんて嫌

でしょ。だから葵は自由にしてもいいの。あ

なたがそれで幸せになれるなら、どんな事

があったって、私はあなたの味方よ」

お母さんの言葉に、一筋の涙が頬を伝う。最

後に強く抱き合ってから家を出た。


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