はちみつ・lover
「ケガは大丈夫です。葵さんにいろいろ任せ

っきりにしてしまうのは、申し訳ないんで

すけど・・・」

「それはいいよ。でもほんとにケガ大丈

夫?」

私は妻として、彼の具合を心配していた。彼

がムリをしているのなら、誕生日なんて関

係なく日を延ばしてもいいかもしれない。し

かし彼はそんな事気にもしていないらしか

った。

「大丈夫です。ムリでも歩いてみせますよ」

そんな彼の強い意志を私は受け入れる事に

した。だからこそこの1ヶ月間は鬼のような

忙しさで、寝る間も惜しんで準備に時間を費

やした。さすがに1ヶ月前の予約はムリかと

思ったが、たった一つだけ受け入れてくれ

た式場があった。

「飛鳥飛鳥!受け入れてくれるとこ見つか

った!」

当然ながらその事も彼に報告した。彼は幸

いな事に利き手である右手が使えたので、

招待状を書く手伝いをしてくれた。あとは

出席者に食材のアレルギーがあるかという

確認など、出来る限り協力してくれて。最後

の最後までてんてこまいだったが誰にも助

けを求める事なく二人だけでやり切った。
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