はちみつ・lover
そして今日に至る。彼のケガがすっかり良

くなった事は一番の奇跡だ。あとは何だか

んだ言って彼のお母さんが出席してくれた事

も。

「いろいろ大変だったね、私達」

出会ってから今日まで、いろんな事があっ

た。あっという間に時が流れて、気づけば

結婚式とかほんと奇跡。

「俺は葵さんを社内で見掛けた時から目つ

けてましたからね。まさかここまでゴタゴ

タするとは思いませんでしたけど。特に今日

の出席者、どんだけいるんだよって」

「ふふ、確かにね」

今日の出席者は軽く500人を超えている。ず

っと謎だったタワーマンションの件は、不

動産王である彼のお父さんが買ったから家

賃はタダらしい。出席者の大半を占めてい

るのも、お父さんの会社の社員といったと

ころだ。


「そろそろ準備いいですか?」


控え室の外からスタッフが声を掛けてく

る。ああ、ついに始まるんだ・・・

不安と緊張で顔が熱くなってくる。震えてい

ると彼がそっと抱き寄せてきた。
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