はちみつ・lover
彼が私を背後から抱き締める。フッと彼の

甘い吐息が耳に掛かった。

「いやいやいや!私はそんなつもりないか

ら!」

「なーんだ、そうなんですか?残念」

思わず彼を突き放すと恥ずかしさのあまり

小さく座り込んだ。

いや・・・私も何「そんなつもり」とか言

ってるわけ!?恥の上塗りなんだけど!


もう恥ずかしいんだか何なんだか分からな

くなってガクッと肩を落とす。彼は不思議そ

うに顔を覗き込んできた。

「葵さん、そう落ち込まないでください

よ。一緒に住みましょう?」

無邪気な笑顔で頭を撫でられ、泣きそうに

なりながら縋りつく。我も忘れて抱きつい

ていると、鼻先が触れそうなくらい近くで

目が合った。

「あっ・・・」

彼のゴツゴツした手が、そっと私の頬を包

み込む。ダメだと思い抵抗する前に口づけ

られた。

「ダ、ダメ・・・ん」

肩を掴むも抵抗むなしく強引に唇が重ねら

れる。彼はネクタイを緩めると更に迫ってき

た。
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