はちみつ・lover
~1時間後~
「着きましたね」
「・・・うん」
私達が並んで見ているのは、市役所。婚姻
届を貰いに来たのだ。
「幸せです。俺、やっと葵さんの事独り占め
出来るんですね」
彼は嬉々として私をじっと見つめてくる。
腰に腕が回りそうになったので手を払いの
けた。
「酷いなあ」
「酷くて結構よ。そんなにいっつも緩くな
いんだから」
彼には少々釘を刺さないとすぐ調子に乗っ
てしまう。私も見た目より腹黒い彼を見て目
が覚めた。イケメン相手にお姫様気分じゃ
すぐ足元を見られてしまうって。
「すみません。あの、婚姻届を貰いたいん
ですけど」
私達は2階にある戸籍課に足を踏み入れた。
倉持くんが話し掛けると受け付けの女性が
にこやかな笑顔で対応している。
~10分後~
「いやあ、想像以上にあっさり貰えちゃい
ましたね」
「まあね」