はちみつ・lover
「会わなくていいって。早く帰ってよ」

「何だよ久々に会ったってのに。そんな言

い方酷くねぇ?」

彼は倉持くんと真逆でパッと見た目から冷

たい印象を受ける。綺麗な顔立ちに墨を塗

ったような黒い艶やかな髪が特徴だ。いち

いちナンパなんてしなくても女性が寄ってた

かって来るタイプだがとにかくドSなので相

手が耐えきれなくなるらしい。

「婚姻届まだ出してないんだろ?証人には

なってやってもいいけど」

証人になってくれるのは助かる・・・とい

うより、私はそんな事まで話していたのか。

「散々相手の愚痴言ってたな。ほんとに結

婚するつもりかよ?」

核心に迫られ心臓がドキンと高鳴る。正

直、同居の条件とはいえ本当は嫌だった。

最初はまんざらでもなかったが、突然に謎

の美人が邪魔をしてきた。あの人が彼の側

にいる以上は結婚なんてしたくない。


「ほんとは嫌なんだろ?俺が奪ってやろう

か」


彼の一言に私はポカンと口を開けた。一

瞬、言っている意味が分からなかったが真

剣な眼差しを見ていると彼の真意が伝わっ

てきた。
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