はちみつ・lover
「物足りない、とかじゃないけど・・・」

「だったらマジで俺にしとけ。俺の方がお

前の事幸せに出来るから」

そう言われても、本当は心の片隅にまだ倉持

くんがいた。結婚が破談になったら、もう

彼とはこれっきり?例え日野が私を養って

くれたとしても、こんな別れ方は満足いかな

いよ。



「ただいま・・・って、えっ?だ、誰?」

19時を過ぎた辺りに、倉持くんが帰って来

る。その頃にはとっくに私も日野も服を着

ていたが、彼は日野を見るなりポカーンと

口を開けたまま固まった。

「誰?じゃねーよバカ野郎。お前のせいで

こいつは散々苦しんでたんたぞ」

日野はヒートアップして彼の胸ぐらを掴

む。突然の出来事にわけが分からないのか

彼は目を白黒させている。

「いや、だからお前は誰なんだよ。何でい

きなり喧嘩売られなきゃならないんだ」

彼も不快そうに日野の胸ぐらを掴む。その

ままバチバチと火花を散らしているので堪

らず仲裁に入った。
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