はちみつ・lover
倉持くんから離れた気持ちが、日野の強い

腕に抱き締められ一層離れていく。このま

ま全てを奪い去ってほしい。このどうにも

ならない気持ちを、私の中から消してほし

かった。


「・・・一緒に暮らそう、葵。あいつの事

なんか全部忘れさせてやるよ」


そんな彼の一言が、傷ついた胸に深く染み

込んでいく。どうしようもなく寂しい気持

ちが、私の心を震わせた。

「・・・私の事、奪って。好きにしていいか

ら・・・」

振り向くと彼の顔を引き寄せてキスをす

る。周りに見られている事なんて関係なか

った。


何も見えなくていい・・・誰でもいいから

私を助けて。
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