はちみつ・lover
彼の優しい微笑みに、結婚生活に対しての

妙な緊張感みたいなものが和らいだ。単純

なまでに流されていろいろやらかしたよう

な気がするけれど、安定感も幸福感も得ら

れるなら彼との結婚も悪くはない。

「さ、早く食べないと冷めちゃいますよ」

安心して食卓を囲めるのも、彼のお陰なん

だ。私は感謝の気持ちを思い出しつつ食に専

念した。



「・・・そうだ。あの二人どうなったのか

な」

夜も更け、ベッドの中でふとそんな事を彼

に訊いた。あの美人と日野がどうなったの

か、今になって気になりだした。

「ああ、彼女からLINE来てましたよ。なん

か一緒に飲んでる写真まで送られてきて」

「えっ?あの二人が?」

「はい。結構気が合うんじゃないんです

か?俺達みたいに」

彼はそう言って小鳥みたいな軽いキスをして

くる。あの二人が万が一でも結婚したらか

なり面倒な事になりそうだが。私はムダな

事を考えず彼に甘える事にした。
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