はちみつ・lover
「葵さ~ん」

「ん?」

「好きです」

彼はデカい体で甘えるようにスリスリして

くる。タレ目を潤ませて見つめてくるからそ

っと頭を撫でてあげた。

「葵さん、あの時初めて好きって言ってくれ

ましたよね」

「えっ?そうだった?」

「そうですよ」

そう・・・だったんだ。うわ~、最悪だ。

自分の事ばっかり考えて、全然彼に気持ちを

伝えてなかった。

「ごめん・・・」

「いいですよ気にしなくて。もう俺以外のヤ

ツになんか触らせないし」

彼の心底幸せそうな笑顔を見ていると、今

まで抱えていた寂しさが嘘のように消えてい

く。きっと私も本気で彼の事を好きなのだろ

う。

「あ、そうだ。部屋の前に置いてあったあ

の段ボール、何?」

「段ボール?」

「そ。私の部屋の前に置いてあったで

しょ?」
< 70 / 122 >

この作品をシェア

pagetop