はちみつ・lover
彼はわけの分からない歓喜の声を上げてい

る。子供みたいにはしゃぐ彼を、おかしい

反面愛おしいと思った。

「さ、行きましょ」

手を差し伸べられる。私もそれに応えると

彼の大きな手に包み込まれた。

「幸せだなぁ~。俺、こんなに幸せでいい

のかな?」

「いいんじゃない。幸せで悪い事なんかな

いよ」

彼はスマホからタクシーを呼んでいる。浴

衣で電車は私が恥ずかしいので、タクシー

で行く事になったというわけだ。

「あと10分で着くらしいです」

ああ~、あと10分かぁ。結構早いな~。


彼とデートをする事はしばしばあったが、

浴衣デートは初めてだ。私の心臓はドキド

キドキドキしてかなり緊張していた。



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