はちみつ・lover
「ちょっとここから離れましょうか」

彼は私の手を取ると、そこから少し離れた

所にある木が生い茂った所に私を誘導し

た。

「何?こんな所で・・・」

彼がどうしたいのか分からず首を傾げる。

彼の顔が、暑さなのか分からないが火照っ

ている気がした。

「葵さんが綺麗過ぎて、何か・・・ドキド

キしてきました」

そんな事を言う彼も、正直見惚れてしまう

ほどにカッコいい。紺色の浴衣は胸元がか

なり開いていて色っぽいし、ヘアピンで前

髪を留めているのも似合っていてついつい見

惚れる。

「あ、葵・・・さん、俺・・・本気で惚れ

てます・・・」

そんな事、とっくの昔に分かっているの

に。恥じらっている彼は何とも可愛かっ

た。

「葵さん・・・ま、マジで可愛いです。好き

です。ずっと、俺だけ見ててください」

「何改まってんの。当たり前でしょ?」

堪らずギュッと抱きつく。彼の顔がボボボ

ッと真っ赤になった。
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