空になりたい。
そこから私達は病室で特に理由もなく沢山話して。

たくさん笑った。

「ひなた。」

「なあに?」

空の顔が私の目の前に。

「俺…いつ死んでもおかしくない状態なんだって。今日。太陽からきーた。」

感じてはいた。

太陽さんはなんかうわの空だったし。

今日、空はいつもよりたくさん笑ってた。

「だから…俺さ…ひなたと別れなきゃだとおもって…」

私はやだといおうとした。

でも、その声はそらにかきけされた。

「…でも!俺、優しくないし…自分勝手だからさ。そんなこと言えない。」

「…え?」



「ひなた…いつだったか、俺と死ぬまで一緒にいるって。約束してくれたじゃん?」

「うん。約束したよ。」



「だから甘えちゃおうと思って…おれとずっと一緒にいて?」

空はにっと笑った。

目がなくなるくらいにくしゃって空は笑った。

その顔。好き。


「あたりまえじゃん!」

私も空の真似して。

にって笑ったんだ。

そしたら、空の目から涙がこぼれだしてきた。


「ほんとに…ありがと。ひなた、すき。」


「…しってるよ。私は大好きだけどねっ」


私達は顔を見合わせて笑った。

空は涙を流しながら私の大好きな笑顔で。


ああ。空。どうして神様は意地悪なんだろう。


あともう少し…もう少しだけ。






私たちに時間をください。

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