空になりたい。
病院をでて。

私はスマホを出してイヤホンを耳に入れた。

そして大きく深呼吸をした。


ため息じゃなくて深呼吸。


「…よし」


私は決めたんだ。


空の前だけは泣かないと。


笑っていようと。


もしかしたら笑っていることが私に出来るたった一つのことかもしれないから。


なにがあってもどんなことがあっても私らしく空のそばで笑ってるんだ。


なんにもない私でも少しは空のためにできるかな。


山と空の真ん中のとこが紫に染まっていて。


他はオレンジに染まってて。


いろんなことを考えてその空を見たら涙が出てきた。


「できる。私なら…泣くな」

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