空になりたい。
明日で夏休みが終わる。

「はやいな。」

私はそう呟く。

家からこの病院までは駅で4駅。

田舎の街だから毎日行くのは結構きつい。

でも、空に会えるならって思って行っちゃうんだ。


恋の力ってすごい。



いつも通り病院のある駅で降りて。

病院へ徒歩5分の道を歩く。

病院についたらイヤホンを外す。

そして受付の人に軽く挨拶をして。

エレベーターに乗って。

6のボタンをおす。

途中で人が入ってきたら軽く挨拶して。

「何階ですか?」って聞く。

そして6階についたら降りる。

右に曲がって602号室。

2回ノックして空の返事を待つ。


いつもと同じ。


「はーい」

なかからこえがきこえる。

それを合図みたいに私は扉をあけて病室に入る。


これが毎日の日課。

「よ。」

「よ。」

私達が会ったらする挨拶。

一文字だけど一文字で繋がってる気がしてそれがいい。



「あ、ひなた。あしたから学校だよね?」

空からの質問。


「そうだねー。学校くる?」


私は聞いた。


「うん。今許可とってきた。」


そう言って紙をひらひらってみせてきた。


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