空になりたい。
その一言は私にとってあまりにも衝撃的で。

まだ来るかわからないと思っていた“その日”がもうそこまできていて。

私にとっての私よりも大切な人がいなくなる。

頭を鈍器で殴られたような…そんな衝撃が私の全身を駆け巡った。

私は言葉が出なかった。

まだ大丈夫だよ。

そんなありったけの言葉じゃだめだ。

死なないで。

これもありったけだ。

ちがう。ちがう。

ほんとに私が空にかける言葉は…

「…大好きだよ…愛してるよ…」

私がそうはなった瞬間私の見えてるものが全部滲んで。

空がぼやけて。

空の手が私の頬をなぞった。

「俺もだよ…〇〇〇〇〇…」

そういった空は泣いたのかも知れない。

私は泣きじゃくってそのあとの言葉が聞き取れなかった。

なんて言ったんだろう。

いや聞こえたのかもしれない。

でもなんていったんだっけ。

忘れちゃいけない…言葉…



私は泣きじゃくった。

空の腕の中で。

なんども空は。

「大丈夫」

と声をかけて、頭をさすった。

空の方が大丈夫じゃないはずなのに。

私はこの幸せな時間を少しでも長く味わいたくて。

空に…甘えてしまった。





その1週間後。




あの言葉はほんとになり。



空はこの世からさった。
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