空になりたい。
1週間はあっという間だった。

この1週間空はずっと病院にいた。

私は学校にいって放課後毎日病院へ向かった。

くだらないことを話したり、授業のノートを移させたり。

1週間は長いようであっという間だった。


バケツにたまっていった水が一気に溢れ出すような。

そんな感覚に陥った。


空が死んだ。

“死”という言葉はあまりにも残酷だった。


空は癌とたたかったのだ。

脳腫瘍と前にインターネットでしらべたことがある。

ご飯が喉に通らなくなるほどの頭痛。

吐き気。手足のしびれ。

こんな状態で私に幸せをくれた。

辛い時があったのかもしれない。


でも私にはわからない。

私の前ではずっと笑っていたから。

海に行って倒れた時も笑って。

入院した時も笑って。

いつも笑って。

最初は空なんて好きになると思ってなかったよ。


私に幸せな時間をくれてありがとう。


私はただただそう思った。
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