先代の私 でも、、、
桜の細かい様子、バランス、線の強弱。

そんなものが上達して浮かれて、室内には成長を感じられるだけのスケッチブックがある。



勿論整理整頓はしている。



………ただ、溜まったスケッチブックの中身は誰にも見せた事が無い。



正直、人に見せても恥じるものではないだろう。



寧ろ見せてしまった方が上達するかも知れない。



ただ、そうだとしても見せたくない。



絵が見れるものになったのは、桜花に所属してすぐだった。



綾人が下っ端として入ってきてすぐ、何故か惹かれた。



自分の顔は見せずに、綾人の顔や姿ばかりを見て、この姿を描きたいと思った。



暇な時間の方が多かった私以外の5代目や下っ端は皆高校へ行き、私はその間倉庫の見張り。



時々残ってはくれようとしたが、将来の為にも勉強しろと私が行かせた。



………当時の私は、理想とは程遠い総長だった。



総長と下っ端とで距離が確実にあり、副総長と幹部と下っ端ではあまり感じられなかった。



敬語を使うなと言っても、使わなかったのは静夜と綾人だけだった。



副総長の室部桃香。幹部の鹿野環、橘野鎮、花城千尋

とは幼馴染みで、私の家の事も私の事も理解してくれていた。

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