先代の私 でも、、、
パーカーの袖で乱暴に拭き、階段を上る。



痛い……けど家に入らないと手当ても何も出来ないから頑張る。



大袈裟かもしれないが手すりに掴まりながらゆっくり上っていく。



よし、あと門を潜って玄関に入れば……。

階段を上りきってそう思ってると、目に入った6代目達の心配そうな顔。



「お姉ちゃん!」

「「「「「彩華さん!」」」」」



あー、怪我してるの隠せると良いなー。



そう思いながら足を地面に着けて前を見る。



「もー!どこ行ってたの!いつも静司兄が居ない時は家業の事しないのに!」



「悪い悪い。いやちょっと後片付けしてなかったなーって思って」



「もー……!?」



ん?



涙目だった静夜が突然驚いた様な顔つきになり私を見る。

正確には、私の…身体を。



うわっ、バレたか。



「心配かけたなら悪かった。私は用事があるから先に「お姉ちゃん!」……」



6代目達の横を通り過ぎようとしたのだが、静夜に捕まった。



ーーっ!



腰に抱き付かれて、前に進もうにも進めない。



足も痛くて振り払った所で追い付かれる。



「……どうした?」



「そうです静夜、どうしてそんな慌ててるんですか?」



「静夜らしく…ない」



あっ、喋った。



綾人同様に心配そうに言った真の声を、今初めて聞いた。



そんな事を思ってる私だが、空気は重い。

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