先代の私 でも、、、
「静夜君?」



朱里が心配そうに言う。



少しの沈黙が続いてから、静夜が悲しそうに言った。



「僕は…、僕達は……、そんなに頼りない?」



頼りなくなど無い。

ただ、頼りたくないんだ。



昨日頼まれた事をやり残したのは私なのだから、

私が最後まで片付けると言うのが当たり前だろうし、私のプライドだ。



姉として、先代としての。



「どう言うこと?静夜」



「そうだぞ、俺達が何でいきなり頼りなくなるんだよ」



光と嵐の声も初めて聞いたなーと思いながらも、

2人が地味に怒ってる様な雰囲気を漂わせてる為、静夜に申し訳なくなる。



そして静夜は、皆に答えるようにして言った。



「だってお姉ちゃん、血なんて出して帰ってきたのに、平気そうに振る舞ってるんだよ?」



ーーっ!?



一斉に見られる感覚。



「お腹とかじゃなくて良かったけど、足…だよね?」



隠しても騙してもバレるだろう。

どうせバレるなら、正直に言うか。



「まぁな」



ーーっ!?



「お姉ちゃん、どうして……」



「何言ってるんだ?こんなの日常茶飯事として思ってるから言わないんだろ?」



「日常茶飯事って、お姉ちゃんがかすり傷負った所ですら見た事無いんだよ?

なのに匂うくらいの血出すなんて…、日常茶飯事なんかじゃないっ」



絞り出すような、泣くのを我慢するような静夜の声。



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