先代の私 でも、、、
「ん?」



どうしたら良いかなって、何を?



「綾人がさ、好きな相手教えてくれたんだっ。……でも、それ応援したら、朱里を裏切るみたいでっ……」



……っ。

悩んだんだろう。



好きな朱里が綾人を好きな事を知ってる上で、綾人が朱里とは違う女を好きだと告げられ、

どちらも応援したいのに、どちらかを選ばなくてはならないのだから。



朱里を応援するなら、綾人の気持ちを否定することになる。

綾人を応援するなら、朱里の気持ちを否定することになる。



………でも、本心では私は綾人を応援してほしい。



聞いた話では朱里は静夜に綾人を好きだと告げていない。

逆に綾人は想いを自覚し、認め、告げるだけの気持ちがあると聞いて取れた。



だがそれは、私ではなく静夜が選ぶ事だ。



「裏切る事には…ならないと思うぞ、私は」



「っ」



静夜が服をギュッと掴んだのが分かる。



私は抱き締めるのも頭を撫でるのもを止め、姿勢を正して言う。



「じゃあ、無理に選ばなくても良いんじゃ無いか?」



「えっ…」



驚いたらしく、目を見開いて私の目を見る静夜。



「本人達に任せるのも、1つの手だと私は思う。朱里の気持ちが綾人の気持ちを上回るか、下回るか。綾人の気持ちが朱里の気持ちを上回るか、下回るか。それもこれも、本人達の行動次第だろうからな」



「………っ」



曖昧な言葉だ。

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