先代の私 でも、、、
いつもの羽織を羽織り、縁側の方へと移動する。



いつもの座布団の上に座り、夜桜を眺める。



風の音、水面の音に耳を澄ませてると、穏やかな気分になって来た。



………そういえば、静夜の話を聞けば綾人は別の女に気がある訳で、朱里に気が無いのか。

でも朱里は綾人に気がある。



考えてみれば、朱里を助けた事に総長である綾人が礼を言うのも簡単に納得がいくな。



総長だから代表みたいな存在だし、私は一応先代だし。



………でも、そうか。



綾人が朱里を好きでなくとも、他の女が好きなのか。



気持ちを自覚し、認め、静夜に、人に告げるだけその気持ちは強いのか……。



先程は綾人1人を応援してたが、朱里の事も応援したくなるな。



いや、だが1番はやはり静夜か。



静夜本人には選ばないのもありだと言ったものの、

どうにかして静夜の気持ちが成就してほしい。



となると、やはり綾人を応援することになるのか。



だって、朱里を応援するとなると綾人と結ばれると言うことで、

そうなれば静夜の気持ちが成就することにはならないからな。



………まぁ、どうなるにしろ私にはあまり関係ないか。



出来れば静夜には、悲しい気持ちになどこれ以上なって欲しくない。



ただそれだけだ。



私が、部外者が口出しも何も出来るものではないのだから………。



悲しいように空しいような、よく分からない感じがする。


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