先代の私 でも、、、
「っ」



しばらく待っても返事みたいなものは返ってこず、

啜り泣くような声がしてたので、私は知らぬふりをしてお菓子作りの仕上げをして居た。



朱里の気持ちも分からなくない。

好きな相手を、綾人を取られ、私も嫉妬したしな。



でも、面と向かって言ってくれたのは良かった。



影でコソコソやられるよりも、ずっとそっちの方が対応しやすい。



そんなまま時間が経ち、お菓子も完成した。



作ったのはクッキー系がバター、チョコチップ、その他もろもろと、

ガトーショコラ、生チョコなんかだが、冷やしたりする為まだ食べられない。



トレーに移してラップを掛けて、冷蔵庫に入れる。



その作業を終えたと同時、片付けを始める。



お菓子作りに使った器具やらを洗ったりだ。



そんなまましてると、誰かの足音が聞こえてきた。



目を向けると、入ってきたのは静夜。

皿をワゴンに乗せて押してきていた。



「お姉ちゃーん、ちょっと話したい事があるんだー」



「静夜君!?」



「ん?っ!」



朱里が静夜が入ってきたのに驚いたらしく、それに応えた静夜は朱里の顔を見て驚いたようだ。



見てみれば泣いていた。



「……大丈夫?」



静夜は多分、朱里が泣いてる理由が失恋だと知ってるのだろう。



「うっ、うん」



涙を拭う朱里に、無理に笑顔を作って言っていた。

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