先代の私 でも、、、
「静夜、部屋に行こう」



辛そうな静夜の腕を引っ張って厨房出口へと向かう。



出る直前にスピードを緩め、こちらを不思議そうに見つめる朱里に言う。



「電気、出るとき消すんだぞ」



「っはいっ」



「あと、敬語良いから」



「っ!」



返事を聞かぬまま厨房を出て、静夜の部屋へと向かう。



「っゴメンっ、お姉ちゃん。やっぱ朱里の事好きだからっ……」



「良いよ、気にしないで」



そのまま移動し、リビングから遠い2階の静夜の部屋に入る。



静夜は桜を少し遠めの上から見たいらしく、

リビングからも茶の間からも遠い場所に自室がある。



窓際に向かい合って座る。座らせる。



そうすると、私の腰に手を回し、お腹に抱き着いてきた。



「お姉ちゃんっ、このままっ、話して…良い?」



「あぁ」



泣きながらでも話すことか。

昨日の夜の事だろうか。



そんな事を考えながら、静夜が話し出すのを待つ。



「実は……、静夜兄が、お姉ちゃんのお見合い持って帰ってくるって、さっき……」



………は?!

お見合いって……。



「静司兄も、お姉ちゃんの事…心配しててっ、警視総監の息子の、家担当の警部さんの息子の人と……」



おいおいおいっ、静司兄…タイミング悪すぎだぞ。



「僕からも言ったんだけど、

心配しなくて良いよとか言って切られて、すぐ電話掛けたのに出てくれなくて、メール入れても無視で……」



………静司兄、最低だぞそれ。


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