僕と城矢君の平行線は。
「いいのよ!思い詰めなくて。」

「ただ、今のあなたの方が私は好きよ。」

佐藤先生はふふっと笑って麦茶をひと口飲んだ。

氷がカランっと音をたてる。

「非日常は嫌いです。

でも人よりは…好き…かもしれないです。」


「ふふ、もうマコちゃん可愛い!」


「マコちゃん、これだけは聞いてほしいの。逆境の中、もしあなたに寄り添ってくれる人がいたら大切にして。それを本当の気持ちでしているかは、あなたが1番わかるはずよ。」


「人数なんて関係ない。本気で寄り添ってくれる人は、いつかあなたが、心から信じられる人になる。」

僕の頭を優しく撫でる。

大事な我が子にするみたいに。



きっと他の先生から言われたら、何も感じないし何も覚えないだろう。

でもこの先生は他の先生とは違うと思う。

僕と真っ直ぐに向き合ってくれた。

この先生なら、まだ怖いけど信じれるかもしれない。


「ありがとう先生。」


恥ずかしかったけど、気持ちを込めてお礼を言った。

「うー、マコちゃん可愛い!やっぱりマコちゃんをここまで変えた人、教えてちょうだい!」

そう言って抱き締めてきた。

ぎゅうーっとしてくるから息苦しい。

「お、教えません、よ!」

押し返そうとあがく。


キーンコーンカーンコーン


授業が終わったみたいだ。


それと同時にノックの音がする。


「失礼します。あの…大丈夫ですか?」


入り口のドアに立っていたのは城矢君だった。
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