僕と城矢君の平行線は。
「あらー城矢君、どうしたの?」

力を緩めずに会話を始める。

「頼まれた資料を持ってきました。」

「そういえば!ありがとう。」


資料を受け取ろうとした隙に、腕から抜け出す。

先生は残念そうな顔をしてたけど、僕にとっては命に関わるからね。

「それじゃ城矢君、次の委員会はこの日ね。」

「わかりました。」

話がトントン拍子に進む。

城矢君は保険委員だったんだ。


「保健委員会の仕事って地味に多いのよね。」

「そうなんですよね。俺も部活が忙しくて…。」

「あ、そうだ!マコちゃん、保険委員会に入らない?」

「星南さん、どう?」

そうか。

僕を委員会に誘うために、わざと前ふりをしてたわけか。

2人は確信犯だ。

捨て犬のように目を潤ませてこちらを見てる。

でも僕はしないよ。

これはただ単に、放課後はゆっくりしたいから。

「僕は入りませんよ。」

「今の話の流れで入るだろ。星南さん入ろう。」

「なんで城矢君が決めるの。僕は入らない。」

「頼むよ、友達の頼みだと思って!」

「むり。」

入らないと言えば入れと言い、きりがない。

疲れた。

「あ!君たち2人!そろそろ授業が始まるわよ。早く戻りなさい。」

「先生、僕は体調不良で__」

「あれぐらい言い合えれば大丈夫よ。」

「そういえば蓮が次は体育って言ってたな。」

「なら見学でもいいから授業には出なさい。城矢君、頼んだわよ。」

そう言って先生は僕らの背中を押す。

なぜだろう。

どこか楽しそうだ。


「それじゃ、いってらっしゃい。」


扉が閉められる。

今までこんなことなかったのに。


「あはは、先生に追い出されたね。行こっか星南さん。」


なぜだかこいつも楽しそうだ。




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