僕と城矢君の平行線は。
保健室のソファーに座る。

ばふっという音と共に湿布の匂いが僕を包む。

「今日も何かあったの?」

佐藤先生が優しい声で聞いてくる。

何かあったと言えばあった。

なかったと言えばなかった。


あの目線も、あの静寂もいつものことだし。


「何もないですよ。」


いつものことだから。

僕はもう慣れたよ。


「そう…。ちょっと私抜けるから寝ててね。」

そう言って先生は保健室から出ていった。

一気に静かになる保健室。

「静かっていいな。」

このまま続けばいいのに。

でも僕の願いは叶わなかった。


コンコンコン


規則正しいノック。

あぁ、来てしまった。

僕の静寂、さようなら。

「失礼します。あ…」

あ、とはなんだ。

保健室に入ってきた男子生徒と目が合う。




これが僕と君との出会い。

僕の静寂を壊したのは君が初めてだよ。



< 3 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop