僕と城矢君の平行線は。
「ぷっ」

「ぇ…」

上から音がして顔をあげる。

「あはは!なんだ、俺のこと嫌いになっちゃったのかと思った。」

よかったーと城矢君は安心した顔になった。

「嫌いでは…ない。」

あれだけ助けてもらったんだ。

嫌いになったら恩を仇で返すようなものだろ。

でも本当に感謝してるから。


「っ…へぇ、それじゃ好き?」


あれ、なんか近くないですか。

じわじわと距離を詰められて、僕の背中が壁にぶつかる。

僕の顔の横に手をついた。

これって、少女漫画でよく見るあれかな。


いわゆる壁ドン。


「し、城矢君?」


こういう時はどうしよう。

少し城矢君が怖い。


「…あははー、冗談だよ。」

「星南さんがいっつも逃げるから、ちょっと苛めたくなっちゃった。」


あ、いつもの笑顔に戻ってる。


「もう逃げません。でもこれはやり過ぎ…!」


城矢君のお腹にパンチする。

「ぐぁっ…ご、ごめん。」





冗談か…。

少し残念だったかもしれない…?




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