社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
相良さんは表情を変えないままにサラリと言ってのけたが、私には重大な内容だ。


車でドライブして、カフェバーで過ごし、帰りは送って貰えるなんて完全なるデート。


告白の返事を待たずして、私は舞い上がってしまう。


「お待たせしました、お任せカクテルです」


お言葉に甘えて、甘めのカクテルをオススメで作って貰った。


「可愛い…!」


運ばれて来たのは、大きめな深めのグラスにフルーツの角切りが入った、苺味のカクテルだった。


見た目がとにかく可愛くて、思わずうっとりしてしまう。


「彼女、可愛いから特別ね。大貴、後から紹介してよ」


「……紹介するも何も、彼女は同僚で…」


「ハイハイ、また手が空いたら来るから!彼女、ゆっくりしていってね」


相良さんが同僚だと言った直後、相良さんを否定するかの様に返事をし、バーテンダーは私に微笑みを残してからカウンターへと去った。


カフェミュージックには、有線からジャズピアノの演奏が流れている。


薄暗い照明の下で、角席に座る私達。


カクテルの中のフルーツをスプーンですくって口に頬張りながら、考える。


私達は、他のお客様に彼氏彼女に見られているのだろうか?
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