社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「…よ、よろしく、お願いします」


「ふふっ、リョーカイ。そんなに怯えなくても食べたりしないよ?和奏ちゃんはハムスターみたいで可愛い。男に免疫なさそうなとこ、もっと可愛い…」


ソファーの端に寄り、途切れ途切れにお願いの言葉を言いながら、座ったままでお辞儀をすると頭にはいつの間にか、ふわりと乗せられた手があった。


乗せられた手は花野井さんの手で、優しく頭を撫でられた。


「…ふ、ぇ!?」


ゆっくりと頭を上げると「上目遣い禁止!可愛過ぎだから。…大貴が夢中になるの分かる気がするよ!…またね、和奏ちゃん。大貴に怒られない内に帰るね」と言って微笑みながら席を立った。


ビ、ビックリしたぁ…。


甘い言葉が飛び出す度に、花野井さんの視線から逃れられなくなった。


「煌君、可愛い女の子が大好きだから気をつけてね」


「…は、はいっ」


副社長は呆然とする私に注意を促し、尚且つ、「相良、もう帰っていいよ。胡桃沢さんを引き止めてしまったから送ってあげて。…業務命令、ね!」と相良さんにお願いをした。


「まだ仕事が残ってるなら大丈夫ですっ」


私が相良さんに話をかけたら、不機嫌そのもの。


「…業務命令なので、退勤します。お疲れ様でした」


「うん、お疲れ様でした」とニッコリと微笑みかけて手を振ってくれた副社長に対して、相良さんはぶっきらぼうに、膨れた様に対処して副社長室を後にした。


私も副社長に深々と挨拶とお礼を言って、部屋から出た。


バックの中のスマホが光ったので取り出すと相良さんからで、駐車場で待っていてとの指示。
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