社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
相良さんと一緒に食事に行く事は私にとっても大切な事だから、謝礼がなくなっても惜しくない。


会計時に財布を出したら断られ、いつも相良さんが支払いをしてくれているので、こんな機会でもないとお返し出来ない。


美味しいものが食べたいな。


「何か食べたいものはありますか?」


「……今日は和奏が決めて」


「分かりました。ずっと気になってましたが、相良さんはお肉苦手ですか?」


出かける時は、いつも野菜多めの食事で尚且つ、魚類がある時は魚料理を選んでいるので気になっていた。


「そんな事はない。…実は家から持たされる弁当の中身が肉ばかりで、バランス良くと思うと野菜と魚に目が行ってしまうだけ」


相良さんからお弁当の話を詳しく聞けば『若いんだから体力付けなさい』と言われ、ほぼ毎日、肉が主流のお弁当が用意されているらしい。


朝、晩は魚料理の時もあれば、精進料理の様に主に野菜だけを使った料理の時もあるらしく、相良さんのお宅が興味深い。


「じゃあ、魚にしましょう。チェーン店の居酒屋なんですけど、海鮮丼の定食が美味しいし、サラダとか天ぷらとかも付いていて、凄いボリュームなんですっ」


「いいよ、そこで。和奏は食べ物の話になるとテンション上がるよね…」


確かにテンション高めに話してしまったかもしれないが、そんなに声を押し殺しながら笑わなくても良いだろう。


けれども、相良さんの笑っているところは滅多に見れないので貴重。


仕草のひとつ1つにキュンとしてしまう私は、相良さんにベタ惚れなのだ。
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