社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
"今日はお弁当が用意されてなかったので、従業員食堂に来てみた。週末、何時に迎えに行く?"


───スマホを確認すると相良さんからで、ぎこちない要件だけのメッセージが、私にとっては彼らしい面白味がある。


いじけ気味の心は晴れ晴れして、思わず顔が緩む。


いつもは自宅から持って来ているお弁当を公園で食べたり、秘書室で食べたりしていると言っていたけれど、今日は珍しく従業員食堂にいたので聞きたくてウズウズしていた私をお見通しなんだろうな。


"やっぱりお魚なんですね(笑)
相良さんが都合の良い時間で大丈夫ですよ"とチラチラと相良さんの方を見ながら、スマホに文字入力をする。


返事はすぐ様返って来て、"10時?"との短文だった。


"分かりました。待ってますね。"と返答し、相良さんはメールの届いたスマホを直ぐに確認し、"和奏から、もの凄く視線を感じる。場所を移動するから…"と返答してきた。


嬉しくて、ついつい相良さんを見てしまっていたけれど…周囲にメールのやり取りや関係性を気付かれたかもしれない。


浅はかな自分を反省し、相良さんが席を立った後に反省メールを送信した。


"好いてくれるのは有難いけれど、顔に出すぎ。"と返信が来て落ち込み気味になってしまうと…間髪入れずに覆す様なメールが届く。


"今日は早く上がれそうだから送って行くよ"、と。


一人で従業員食堂に座っているのに、突然のメールに顔がゆるゆるに緩む。
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