社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
秘密の社内恋愛中の私には、些細なやり取りが嬉しくて堪らないのだ。


ましてや、社内では接近禁止と言っている相良さん自らが従業員食堂で近くに座るなど思いも寄らなかった。


高鳴る胸を抑え切れずに舞い上がり気味のまま、受付カウンターへと戻る時間が迫って来る。


休憩時間の終わりに"先に上がったら近くのカフェで待っています。"と返信した。


午後から定時までの数時間、精一杯頑張ろう。


相良さんは私の活力源なので、仕事への意欲も高まる。


幸せな気分のままでエレベーターに乗り込み、1階行きのボタンを押して受付カウンターまで戻った。


「休憩から戻りました。何か伝達ある?」


戻ると直ぐに次は奈子ちゃんが食事休憩の番なので、仕事の伝達や引き継ぎを行う。


「いや、それがですね…」


私が受付カウンターに座るなり、私の目の前に差し出された電話番号が書いてある小さなメモ用紙。


「先日、副社長と相良さんのところに訪ねてきた女性が先輩に渡してってメモ用紙を置きに来たんです。一応、預かりましたけど…」


「……?その他は何も言ってなかった?」


「気が向いたら電話して、ですって。無理してする必要はないと思いますよ!…何の意図があるんでしょうね?」


疑いもせずに不思議そうに私を見る奈子ちゃんに私と相良さんの関係を話したいけれど、話す事は出来ずにもどかしさだけが残る。
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