社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
伝える事が出来ずに戸惑う。


「私、大貴の元カノだったの。あ、アイスコーヒー1つ!…」


戸惑っている最中に私にトドメの一言をぶつけながらも、通りすがりの店員さんにアイスコーヒーを頼んでいる彼女はとても逞しく思えた。


やっぱり元カノだったんだ。


相良さんと麗紗さんの方がお似合いに決まっている。


考えれば考えれる程にチクリと心のナイーブな部分に棘が突き刺さり、抜けそうもない。


「大貴が高校生の時から付き合ってたの。勿論、お互いの初めての相手でもあるの。私がね、他に好きな人が出来ちゃったから別れちゃったんだけどね…」


「…そうですか……」


高校生からの付き合い。


お互いの初めての相手。


ジワリ、ジワリと侵蝕していく棘が交差して絡まる。


聞きたくない。


逃げ出したい。


「…それでね、近々、私は結婚する事になったの。大貴に会いに来たのは、その報告だったんだけど…聞き耳持ってくれなくて、結局…話す事が出来なかった。それもそうよね、私が一方的に別れを告げて、他の人の所に行ってしまったんだから。だから、貴方が彼女なら伝えて欲しかったの…」
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