社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
我儘で勝手な人。


けれども、相良さんが別れた後もスマホから電話番号を消去しなかったのは、連絡を待ち続けていたのかな?


相良さんは強がっていただけで、本当は未練が残っていて再会が嬉しかったのかな?


自分にとってはマイナス思考ばかりが頭に浮かんで、返事が出来ずにいた。


それに相良さんは傷ついていたのかと思うといたたまれない。


過去は取り戻せない分、私は相良さんを大切にしたい。


「…あのさ、気になるから聞くけど…大貴の初恋の人って貴方よね?後藤ちゃんから聞いて知ってるんだ。初恋の人と再開して付き合うなんて、そうそうないから驚いたけど…運命の人みたいで羨ましいよ」


「…初、恋…ですか?」


以前、後藤さんが経営するバーで話してくれた小学生ピアノコンテストの時の事。


そう言えば・・・後藤さんが相良さんが探してた女の子が居るとか言っていたけれど、それはまさかの私だったのかな?


初恋だとか、くすぐったいけれど、素直に言えば嬉しすぎる。


「そうみたいよ。大貴はね、中学高校とピアノを頑張っていて、音大を目指していたのだけど…ある日突然にポツリと辞めて進路を変更したの。多分、ピアノを頑張っていても貴方には会えなかったからだって…私は勝手にそう思ってる」


相良さんの口からは聞けそうもない過去の話。


立ち入り禁止の場所に踏み入ろうとしているみたいな罪悪感とは裏腹な興味深さ。


どうしよう…聞きたいけれど聞いてはいけないような心情。
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