社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
ブスッと膨れた顔のままで言葉をぶつけてしまったが、相良さんは冷静沈着のまま、駐車場から車を発進させた。


何も言わないの?


運転中の横顔を睨み付けるように眺めていると仕方なくなのか、口を開いた。


「…今は和奏と一緒に居るんだし、麗紗との過去の事は特に話さなくても良いかなって思ってたから話さずにいた。今日はまさか、和奏の所まで訪ねて来るとは思わなかった。今、マリッジブルーになってるらしい。重ね重ね、和奏に申し訳ないと思ってる…」


ポツリ、ポツリと話し出す相良さん。


続けて、「…住んでる家の件は週末に話すから」と言った後は急に無言になってしまった。


確かに前回会った時の強気の麗紗さんは居なくて、何処か切なげな表情はしていたから不思議には思っていた。


マリッジブルーだと聞いて行動に納得出来たから、麗紗さんを悪く言うつもりはない。


更には私が好きかどうかなんて尋ねてしまったが、相良さんが簡単に好きだとか愛してるだとか言わない事ぐらい知っている。


一緒に居てくれて、私の事を優先してくれる事だって知っているから、言葉にしなくても大事にしてくれてる事は理解しているつもり。


───それでも、好きだとか、愛してるだとか、言葉で聞きたいの。
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