社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
そんな事を思うのは、贅沢なんだろうか?


「…私ばっかり好きでズルいです」


「どういう意味?」


「そのままの意味ですけど…」


私の言葉に対して理解出来ないと言わんばかりの相良さんに対して、私は引き下がらずに強気で言った。


「…じゃあ、俺がどれだけ好きかを証明すれば良いの?」


少し間を置いてから返事を貰い、私は「はい」と短い返事をしてからうなづいた。


「分かった。答えは週末にとっておくから待ってて…」


「何で週末?」


「…その理由は今は言えない」


またもや相良さんの秘密主義の性格が出て来てしまい、私は拗ねた素振りを見せたが沈黙は続く。


お互いに話さずにいた為、自宅アパート付近まで車で走っていた。


「…たまには和奏の部屋に寄り道しようかな?」


ポツリ、と左耳に入り込んできた言葉に驚き、動揺を隠せなかった。


どんな風の吹き回しなのか、休みの日のデート以外の会社帰りなんて寄った事なんてないのに!


「ご飯作ってくれる?」


「きゅ、急に言われても…。有り合わせで作るしかないですけど…それでも良いなら」


「勿論、特別なものは望んでないけど…和奏の手料理が食べたくなっただけ」


小声だったけれど、ストレートにそんな言葉をぶつけられたら嬉しくもあり、恥ずかしかった。


こんな時は自分は彼女なんだと特に実感する。


アパート付近の駐車場に車を停めて、短い距離を二人で歩く。
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