社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
街頭と月明かりだけに照らされ、静かな道を歩き、そっと手を繋ぐ。


帰る途中に自転車が横切り、後ろめたさからか繋いだ手を慌てて離そうとしたが、相良さんはキュッと繋いだままだった。


休みの日のデートは手を繋いでも違和感を感じないのに、相良さんがスーツだからかな?…会社の延長上で緊張感がある。


部屋に着いて、一先ずは冷蔵庫の中身を確認し、オムライスくらいしか作れない事に気付く。


それでも相良さんは文句を言わずに出来上がりを待った。


前持って分かっていれば、材料も買っておいたのに───……


「相良さん、出来ました!…って?」


簡単な物だから待ち時間は短時間だったはずだが、仕事用のタブレットを見ていた相良さんはテーブルに突っ伏して寝ている。


小さな寝息が可愛らしく、熟睡しているかの様だった。


突っ伏した体制のままでは辛いと思い、そのまま上半身を倒してゆっくりと横にしようとしたら…

「…ん」

起きてしまった。


「ごめんなさい…態勢がキツいかなと思って、横にしようと思ったんですが…」


「…寝てた、俺?」


「寝てましたけど…疲れてるなら無理しないで下さい。いつも送って貰って…ば、かり…」


ふわり。


「…ちょっとだけ、こうさせて?」
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