社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
隣にいた私をフワッと自分の方に引き寄せて、ギュッと抱きしめられた。


相楽さんの背中に手を回すと頭を優しく撫でられる。


今までに何度抱きしめられ、何度頭を撫でられてキスを交わしたのだろう?


数少ない逢瀬の中で甘やかされ、職場とは違う相楽さんの一面を発見する。


「…週末、うちに泊まる?」


「…はい。…って、えぇーっ!?」


「何その反応?二日間、一緒に居るし、送り迎えが大変だと思うならそうしなよ」


「……ぅう」


「…何なら何処か泊まりに行く?和奏が好きな方にして?」


両頬を両手で触れられ、相良さんの方に強制的に顔を向かされて、クスッと妖艶な笑みを浮かべながら私を見ている。


顔が真っ赤な私をからかうかのように言い放ち、視線は真っ直ぐなまま。


「…泊まりに来るって聞いただけなのに顔を赤らめるなんて、何かを期待してるの?」


「…し、してないっ!」


「…和奏って本当に可愛い」


ムキになって否定する私の額に唇で軽く触れてから、キスを交わす。


キスの直後、オムライスを食べ始め、やっぱり眠かったらしく、仮眠してから帰るとの事で捕獲されてベッドに囲われた。


相良さんに背後から抱きしめられるような態勢でベッドに囲われ、いつの間にか私も眠ってしまった。


夜中に相良さんが飛び起きたのが分かって目が覚めて、うっすらと目を開けたが、私の事を確認した相良さんは再び抱きしめて眠りについた。


次の日、お互いのスーツやシャツがしわくちゃだったが…たまには良いか、なんて笑い飛ばした。


もしかしたらだけれど、今日泊まった事は麗紗さんの事を不安がっていた私を気遣ってくれたのかもしれないと思った。


やたらとスキンシップが多かったし、本人には聞けないけれども───……
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