社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
チーズケーキは家政婦さんの手作りで、口に含むと濃厚な風味が広がった。


「いつもなら、染野さんってゆー家政婦がいるんだけど、社長夫妻が居ないから今日と明日は休んで貰った」


聞けば、染野さんという家政婦は会長御夫妻がお気に入りだったフレンチのシェフらしい。


引退してからは花野井家の家政婦として働いていると相良さんは言った。


「…そのうちね、会えるだろうけど…染野さんってお節介焼きなおばさんで弁当を毎日作ってくれるんだ。肉が多い弁当の正体は染野さんが作ってくれるから」


「お母さんの手作り弁当みたいで良いですね」


「結婚もしてないのに弁当持ちってどうなの?
…秘書室から出る時に弁当袋を持ち出すのが気まづいんだけど…」


「それでも断りもせず、持って行くんだから相良さんらしいですよね」


文句を言いつつも、お弁当を大切に食べているのが内面が優しい相良さんらしくて、思わず顔がほころぶ。


御両親が渡米したのは小学五年生の時で、副社長宅で副社長と兄弟の様に育ったと話してくれた。


執事と言うか家政婦と言うか、住み込みで相良さんの祖父母が働いていたと言う話を以前聞いたが、亡くなった後もお世話になっているらしい。


兄弟同然の彼等は付かず離れずに今も一緒に働いている。
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