社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
相良さんは、祖父母の代から続く忠誠心もあってか、土日祝の会社が休みの日や、平日の早く退社出来る日は添野さんの家事のお手伝いをしているらしく、どおりで料理も手際良いと思った…。


一通り、話の流れから相良さんの昔話を教えてもらい、胸がいっぱいになる。


御両親が渡米後も相良さんは不幸せなんかじゃなかった。


副社長の御両親と祖父母、それに相良さんの祖父母や染野さんに囲まれて不自由なく暮らし、現在に至る。


万が一、副社長の御両親と祖父母に嫌がらせ等を受けていたら…、とっくに家を出ていただろう。


成人した今も家を出ないのは、相良さんなりには幸せだからだと勝手に解釈する。


私はてっきり寂しい思いばかりをしているのだと思っていたから、安心した様な気がする。


「…俺らしいって、何で?」


昔話を話した後に、何事なく通り過ぎた話題が相楽さんの一言で舞い戻る。


「それはその…お弁当を大切に食べているところが優しい相良さんらしいって事です」


「…そぉ?そんなに優しくないけどね…。和奏が好きな秘書室の相良さんは冷酷なんでしょ?」


「そ、そんな事はないですって!」


「会社では冷酷だとか、無表情だとか言われてるの知ってるし…」
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