社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
唇が解放されると息が漏れる。


「…っふぁ、」


目がトロンとしているのが自分でも分かるくらいに、いつもよりも長いキスだった。


「……おいで?」


腕を引かれ、上半身をゆっくりと起こされて、相良さんの方に引き寄せられる。


膝の上にちょこんと乗せられ、背後から抱きしめられる。


「…あ、あの…さ、相良さん…?」


「…んー?」


「こ、これは一体…?」


「忘れた?以前、ドレスを選びに行った時にアクセサリーは買わなかったでしょ?」


「そうですけど…でも…」


膝の上に乗せられたかと思えば、どこから出したのか、さりげなくネックレスがクビにかけられた。


その後、ネックレスとお揃いのイヤリングの箱を手渡される。


極端に甘くなく、かつシンプル過ぎず、年齢に関係なく着けられるデザイン。



「ありがとうございます。凄く素敵なネックレスとイヤリングですね。これって…トルマリン…?」


キラキラと光り輝く淡いピンク色の石は10月の誕生石、トルマリン。


「和奏の誕生石。ワインレッドのドレスに合わせやすいかと思ってそうした」


「…た、大切にします。宝物です!」


「本当に子供みたいに喜ぶよね」


「だって、素直に嬉しいですもん!」


相良さんは「適わないな…」とボソッと言い、髪を優しく撫でてくれる。
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