社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
一目惚れした椿柄の浴衣の帯を解かれ、肌をあらわにさせられる。


首元、鎖骨、相良さんの唇が触れる場所が徐々にと下へと下がって行く。


次第に緊張もほぐれ、熱を帯びた身体は自分自身ではないかのように大胆に相良さんを欲してしまう。


お酒のせいだと言い訳したい位に意識が無くなりそうな夜だった。


「和奏、おはよう…」


相良さんの腕の中でスヤスヤと眠ってしまっていたらしく、目が覚めると体温を感じられる距離に相良さんが居た。


昨晩の事を思い出してしまい、布団の中に頭を沈めながら、「おはようございます…」と返事をした。


相良さんに沢山愛された記憶。


乱れてしまった記憶。


そして、一度だけ囁かれた「好きだ」の言葉。


頭の中を駆け巡り、嬉しいやら恥ずかしいやら…。


「……朝食の時間が終了してしまうから、そろそろ起きよう」


「……はい」


相良さんの顔をまともに見れず、布団をかぶって顔を隠したまま、小さく返事をする。


重ダルい腰の痛みと身体に散らばるいくつかの赤い内出血の後が、相良さんと大人の関係になったという証拠だった。


泊まりに誘われた時点で覚悟はしていたが、いざとなると恥ずかし過ぎて、どんな態度をとるのが自然なのかを考える余裕すらない。


布団に頭を沈めている行動自体、不自然極まりないのだけれども…。
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