社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
私の反応を見ながら、堕ちて行くのを楽しんでいるかの様に見える。


されるがままに時は過ぎて、次の日の朝、相良さんの姿は無かった。


寝る時は相良さんの温もりを背中に感じて居たのだが、スマホのアラームで目が覚めると温もりは無く、テーブルには手作り朝食が置かれていた。


"また職場で"と書かれたメモ書きと共に置かれていて、嬉しくて胸がキュンキュンと高鳴るばかり。


重だるい身体も軽快に動き始め、早く仕事に行こうと急ぐ。


朝食を有難くいただいて、顔が緩みっぱなしのままにアパートから駅まで歩いて電車に乗る。


相良さんの玉子焼き、甘くて美味しかった。


ウィンナーもタコさんとカニさんになっていて、無表情のままに包丁で切り目を入れて焼いたのかと思うと想像するだけでも楽しい。


電車の中では相良さんの事ばかりを考えてしまい、極度の中毒症状が出ていた。


「先輩、随分と嬉しそうですね?何か良い事ありました?」


「うん、幸せなんだ、今…」


「相良さんとお近付きになれたとか?」


「ちょっとだけ、ね」


職場に着き仕事をこなしていると合間を縫い、後輩の奈子ちゃんが話をかけてくる。


温泉に行った事とか色々と話す事が出来ないのが心苦しい。


奈子ちゃんを騙している様で落ち着かないけれど、絶対に秘密だから話せない。
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