社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
仕事終了後に社長室を訪ねると社長の他に副社長、相良さん、秋葉さん、花野井 煌さんと他複数名が勢揃いしていた。


「お待ちしていたわ、胡桃沢さん。直接お会いするのは初めましてよね、花野井 彩子です。宜しく御願い致します」


扉を開けると社長椅子から降りて来て、私の元へと歩き、私の両手をギュッと握り微笑んだ。


「派遣会社からお世話になっております胡桃沢 和奏です。宜しく御願い致します」


「相良と息子から話は聞いているのよ。今度、自宅に遊びにいらしてね。相良が不在でも、ゆかりちゃんと一緒にいらしてね。女同士でゆっくり話がしたいわ!」


「…ぜ、是非!」


「ふふ、毎日、遠くから受付で姿は見かけてるのよ。実際に会ったら、とても可愛い女性ね、相良」


ふふっ、と上品に笑いつつ、相良さんにサラリと返し難い返答を求める辺りも副社長と似ているな、と思った。


「……さぁ?」


「"さぁ?"ってないよね?照れ隠しじゃない?」
「大貴は素直じゃないからね」


「…飲み物入れて来ます」
「私もお手伝いしますっ」


社長からの質問に対して素っ気のない返答をして、秋葉さんと一緒に給湯室に消えた。


素っ気のない返答に対し、副社長と煌さんがからかい、気まづくなってしまったのか、最初から飲み物を入れる予定があったのか、この場から去ってしまった。


この場では素っ気のない返答でも、構わない。


二人きりの時はいつも、『可愛い』と囁いて愛してくれてるから───……
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